『むしろ文学的な観察。』
本書はタイのセックスツーリズムにおける優れたガイドブックたりえる。しかしそれは単に本書がゴーゴーバーについて詳細に調査し、その成果を記録してあるからではない。それのみならず、バーガールたちの様々な生き様、客との関係を記述し、著者の操るペンが更にバーガールのこころのあやにまで届いているから、本書は優れた人間観察になっている。であるからもちろん本書はバンコクの風俗観光ガイドにもなるが、それだけの本としてこの一冊を扱うのはもったいない。もっと普遍的な、自ら身を飾り夜の享楽に耽ろうとする女の、そしてそれに群がる男たちの心理を知ろうとする人に最適な書である。風俗店経営者にとって大きな経営学的参考も得られるだろうが、それは人類学的な分厚い記述も本書は兼ね備えているからである。しかしなによりこの本は、日本語で書かれた21世紀最初の花柳文学といってよい。著者をこの本で単に風俗マニアであるかのように評するのは間違いであろう。むしろ広く人間性全般に対し興味を持っているように思える著者の、全く違った分野での活躍にも期待したい。